末広がり

結婚式は 十二月十八日
八という字が好きになった
商売を始めて 開いた銀行の
当座番号が 四十八

せっせと日銭を運んだが
運は 仲々廻ってこなかった
一番違いの 四十九みたいな年月だった

四百八拾萬という字にひかれて
あらいざらいのお金を集めて
はじめて買った 小さな家
子供と一緒に 伸び伸び眠った

家業を継いだ息子が 会社を設立
大空に はばたいてゆくのだと
ウイング と名付けた
当座番号四十八番 長い間ありがとう

年金の基礎番号が届いた
主人は 八○○八八
私は 八○○八四
末広がりの番号にあやかって
豊かな老入れを迎えたい





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