蜆 蜆が 剥き身で売られている 京の錦の市場の 裸電灯の下で 一盛り いくらで 並べられている 味噌汁の蜆は 汁だけすすって 身は捨てるもの と思っていた 小さな殻をこじあけ 京の あきないが 蜆を剥き身にする 飢えと ほど遠い貪欲さで 蜆は 食卓に運ばれていく 目次へ 次の詩 前の詩