湯がたぎる 鍋の中へ
味噌をとかす 私の朝

出張先のホテルで 息子はまだ夢の中か
病院の廊下を 夜勤の娘の靴がひびく
末の息子は オールナイトのバイトが終わり
家に向かって 車を走らせている頃か

仕事の済んだ店の二階で
夫は ゆっくり朝刊を広げているだろう
五人の家族が 五つの場所で
五つの朝を むかえている

朝刊配達を終えた
若者達が帰ってくる
朝食の支度がととのった食堂で
「おはようさん」
「いただきます」
故郷を離れて働く若者達と
私の一日が始まる





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