水族園

孫を連れて 水族園に行く
もうじき三歳になる孫は 大きい水槽より
銀河鉄道の列車のような 暗い通路が好き
ネオンのように光る 熱帯魚の群れ
緑の藻の中を ゆれる紅べら 青べら
砂にもぐって 頭だけだした穴子の
目ん玉の行列 窓は 次から次へ
「僕」は興奮する どうにもならない
ガラスのむこうの 生きているおさかな
顔と掌を くっつけて つかまえたいおさかな

ラッコ館は暗い すぐ階段で下りる
海底が見えるように
客席は縦長になっている
ラッコは くるくる廻りながら浮かび
腹の上で 両手を合わせて貝殻を割る
「僕」は ラッコを見ている人の足が面白い
足の間から見える 底に溜った白い貝殻は
ラッコのこぼした 御飯
ラッコは おかたづけしなくていいの

海岸の大時計は 三時
六月の第一日曜日
暑さに誘われ 砂浜は 人人人
ビーチパラソルの花 花
砂浜沿いの歩道を
ローラースケートの一団が走りぬけ
スケボーの 男女の喚声が あがる
「僕」は おひるねタイムなのに
黙々と歩く 大好きなJRにのるため
もうすぐ駅まで がんばる
がんばって 暑い砂浜を歩く





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